2022年東大入試に激震が走った話
今年(2022年)の大学入試期間中は異例なことづくしでした。色々列挙すると下のような感じでしょうか。
- 大学共通テストの会場であった東大本郷キャンパスで前で少年が刃物で3人を負傷させる。(1/15)
- 1/15 13:00(日本時間)にトンガで大規模噴火が発生。直接的な被害はなかったものの、津波警報に伴い岩手・宮古の会場は再受験に。夜中に神奈川県で緊急速報メールが何度も鳴り響く。(筆者は神奈川県住みのため、1:00ごろに何度も起こされました)
- 共通テスト数学が超難化。数学1A の平均点過去最低、数学2Bの平均点と合計して初めて100点を切る。
- また、共通テスト全体の平均点も前年から-50点。
- ある受験生が共通テスト世界史の問題を外部に流出させる。
- 国立受験前日の2/24、ロシアがウクライナに侵攻する。
今年受験した身からすると、ロシアがウクライナに侵攻したニュースは本当に驚きましたね。
世界史で字面でしか学んでいなかったことが現に起きたんですから。
まさに「世界の変革期を生きてる」って感じで世界史の
私は特にメンタル的な影響はなかったです。「受験が終わるまでは自分のことに集中しないと」と自分の勉強に集中してたのを思い出します。
しかし、こうしたニュースに隠れて東大入試に異変が起こりました。
ここからはその異変について自分の恨みつらみを交えて書きたいなと思います。
激下がりの平均点
早速科類ごとの今年の平均点を見てみましょう。
文科一類: 331.5381点 (前年:360.818点)
文科二類: 329.5061点 (362.072点)
文科三類: 327.6554点 (356.8357点)
理科一類: 334.3703点 (360.741点)
理科二類: 312.9709点 (338.5574点)
理科三類: 377.1345点 (405.5365点)
「いやーやっぱ理科三類って別格やなぁ」って思った方、そこじゃないですよ!!
なんと全ての科類で平均点が約30点も下がっているのです。
「たまにはそんなこともあるっしょ」
と思った方もこの事実にはびっくりするのでは?
なんとこの得点は、ネットで確認できる限り東大で得点開示が始まって以降最低の点数なのです!
ちなみにそれまでの合格者平均の最低点は2015年の文科三類で記録した332.2643点でした。
ただ、この年の文科一類合格者平均点は354.0524点で全体の点数が低いわけでもないんですよね。
また、理科一類、理科三類以外では全て前年の合格者最低点よりも今年の合格者平均点が低くなっています。
2022年東大入試の得点は明らかに異常です。
なんで自分が受ける年でこんなことに?
ただ、結果として私は救われました笑
では、なぜこのような異常事態になったのか。その理由を探っていきます。
共通テストの難化
東大入試の得点配分は、満点が550点。そのうちの110点が共通テストです。
意外と配分大きいですよね。
今年の共通テストの特徴として、成績上位層も共通テスト難化により大きな影響を受けたことが挙げられます。
その証拠として、今年の東大入試、第一次選抜突破者(受験者数を倍率3倍にするために共通テストの成績で一定数の受験者を振り落とす仕組み)の共通テスト平均点はどの科類でもおよそ-50点でした。
例年だと東大受験者は共通テスト9割越えを目標としていますが今年はそうはいかなかったのです。
ただ、-50点は東大の配点だと約-5点。よって、あと約25点は別の要因で下がったということになります。
本試験数学の難化
以下、科目ごとの平均点については得点開示の集計を行なっている『UTaisaku-Web』
を参考にさせていただきます(よって東京大学が発表した公式な記録ではないことをご理解ください。)また、以下私が受験した文類について述べたいと思います。(なお、得点低下の理由は文科・理科でほぼ同じだと考えています。)
実は東大入試でも数学の難化が話題になりました。
合格者平均点は29.9点で昨年比-7.6点。満点が80点であることを考えると大幅に点が下がっていることがわかると思います。
これには決定的な理由があります。
それは、いわゆる標準的な問題が全4問の中から消えたことです。
実は2015年前後まで今に比べてそれほど東大文系数学の問題は難しくありませんでした。
それは、昔数学を難しくしすぎたせいで1問も完答しなくても合格する受験生が続出したためです。これでは数学によって全く差をつけることができませんでした。
難しくないというのは、何も全問が簡単だというわけではなく、必ず答えられる問題が4問中2問程度は含まれていたのです。なので、合格者平均点は恐らく半分の40点を超えていたでしょう。
ただ、近年になって標準的な問題は1問に減り、数学が難化傾向にありました。
逆に言えば、数弱にも解かせてもらえる1問は残されていたのです。
しかし、今年の問題は標準的な問題は一問もなく、全て何かしらの工夫を要する問題でした。
これが数学の平均点が下がった原因だと考えられます。
本当に数学ができる人だけが得点を取り、なんとなくできる人は大幅に点数が下がり二極化が進んだのです。
ただ、これでも共通テストの分と合わせて約-15点。まだ減少幅の半分.....。
そう、今年の東大入試はこれだけの仕打ちでは満足しなかったのです。
他科目も謎の平均点低下
まず、前提として今年の受験では全科目で平均点が低下しました。特に減少幅が大きかったのは数学。
そして、次に異常な下げ幅を見せたのは国語です。
国語も実は前年比-8点て数学並みの下げ幅です。
ただ、昨年も国語はかなり難化傾向でした。それよりも8点低いとなると解いた感覚としては問題自体が思考力を問う問題となっていた気がします。
いくら東大の試験といってもある程度のお作法はあります。
現代文では接続詞を辿って論理関係を整理すれば解ける問題が多かったのです。
ただ、今回の試験では「そのお作法では得点はやらんぞ!!」という東大教授の気概が見られた気がしました。
例えば、2022年入試第一問の(3)。
「文字通りの『自然』のなかには、もともとどんな名も存在しない」とはどういうことか。
この「自然」と「名」の言い換えと、その2つの関係を把握することがとても難しい、今年の東大国語で最難関の問題だと思います。
ここでは、付近に似た意味の文や接続詞がないために塾で習った「お作法」はきかない、すなわち真の思考力を問う問題により近づいているのです。
また、英語。
英語の試験は特段難化したようには思われません。ただ、平均点が下がっている。
国語や英語の点数が下がったもう一つの原因として「採点基準の変更」が可能性として挙げられます。
要素を詰め込むだけではなく、文の論理関係、自然な流れにも重点が置かれるようになったのかもしれません。
これについては、来年以降の入試結果も見ないとなんとも言えません。
感想
受験生として東大入試の感想を述べると、東大本気出してきたなという感じです。
いや本当に昨年放映された「ドラゴン桜2」の影響を疑ってしまうくらいに笑
数学難化には本当に救われました。なぜなら、私は数学が大の苦手で数学オリンピックの問題4問並べてくれ!とずっと心の中で思っていたからです笑
この東大入試難化傾向が今後も進むのだろうか。
そうなると、共通テスト同様に来年の受験生は入試への対応にまた手を焼くかもしれません。
ここらへんの考え方、また東大入試の体験談については別の記事で書きたいと思います。